NEWS
お知らせ
エージェントブログ
2022.12.11
不動産コンサルティングを行っていると、常に寄せられる相談が相続に関してのものだ。
分割協議が整っていない場合には、相続した不動産の現状価格を知りたいと言った相談が多いのだが、そこから実際の売却に発展する場合もあれば、何らかの転用(賃貸駐車場など)とされる場合もあり、相続人数や諸条件により様々な相談が寄せられる。
その中で「借地権」に関しての相談が寄せられることもある。
現在では借地権のほとんどが定期借地権であるが、この借地権上の建物が相続対象になると何かと手間がかかかる。
定期借地権の存続期間が残る限り土地を使用する権利はあるが、複数人の相続人が発生し売却しようと思っても原則として土地所有者の承諾が必要である。
適法に契約されている定期借地権であれば売却もそれほど問題ないのであるが、なんせ定期借地権の存続期間は50年以上である。
であるあからその間に地権者の方が亡くなり、借地が相続されている場合もあるのだ。
このような相続人である地権者に借地権売買の話を持ち込むと、すんなりと同意が得られない場合がある。
これは借地を相続したものの、その内容については正確に理解できていないことによる場合が多く、けして意地悪で同意しない訳ではない(なかには悪意で同意しないケースもあるが)
このような場合には裁判所に対し、地主に代わって譲渡の許可をしてもらうための訴えを起こさなければならない(借地非訴という)
これは借地借家法第19条に以下のように規定されているからだ。
「借地権者が賃借権の目的である土地の上の建物を第三者に譲渡しようとする場合において、その第三者が賃借権を取得し、又は転借をしても借地権設定者に不利となるおそれがないにもかかわらず、借地権設定者がその賃借権の譲渡又は転貸を承諾しないときは、裁判所は、借地権者の申立てにより、借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができる」
とはいえ定期借地権は原則として更新はできないので、残存期間が残り僅かの場合には、売り出したとしても値は低く、またはっきりとえいば「売れない」ケースもある。
そのような状態で借地非訴を提訴しても費用倒れになるだけだ。
であるから、相続(離婚による財産分割含む)や借地権が絡む複雑な相続相談などは、知識と経験のある不動産のプロの仕事だと言えるのだ。
記事執筆担当_不動産エージェント 奥林洋樹