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エージェントブログ
2022.01.09
昨年12月は初雪が遅く、今期は多少なりとも楽が出来るのかなと思っていたら年末から新年にかけて大量の雪に見舞われた。
更に成人の日も含めた三連休明けには、大量の雪に注意との予報も出ている。
ブログを書いている1月9日も、目覚めてカーテンを開けると積雪があった。
連日、規則正しく降る雪により幹線道路はまだしも、住宅地の道路は除排雪が遅れて車線が減少すると同時に道路脇に高く積まれた雪山でT字路などまったく見通しができない。
右左折時にはソロソロと車の頭を出しながら、車や通行人に注意して徐行することが必要になる。
例年のことではあるが「雪国」の暮らしは大変である。
もっとも不動産エージェントはフリーランスの身であるから、渋滞に巻き込まれ時間を気にしながらの車通勤など必要がなく、訪問などのため車移動する場合にも時間に余裕を持って行動すればよい。
状況により公共交通を利用するなどの方法もある。
訪れる観光客にとっては幻想的な雪景色ではあるが、生活している当事者にとっては生活に支障が生じる。
そのような意味合いにおいて、移動を伴わないオンライン家事調停を可能とする取り組みが、東京・大阪・名古屋・福岡の四地域で試験的に取り組みが開始され、個人として注目している。
これは昨年の12月に最高裁からプレスリリースされた。
不動産業界における重要事項説明のオンライン化が全面解禁されたのは記憶に新しいところだが、報道内容を見る限りにおいて、IT重説と近い感覚で調停制度が利用できるようだ。
最高裁判所によれば、今回の試験運用により情報漏洩など想定される問題の解決方法を模索しながら集成し、いずれ全国の裁判所で利用できるようにするとしている。
ご存じのように「家事調停」とは、裁判官と民間の調停員、そして当事者が話し合い「相続・離婚による財産分与・遺産相続」の問題を解決する手段として、原則は非公開で行われる。
本格的な裁判とことなり調停費用も割安であることから申請件数も多く、昨年だけで約13万件(全国)おこなわれた。
法曹関係者からも「ウェブ調停により利便性がさらに高まり、迅速な解決に役立つ」として歓迎されている一方、当事者のなりすましや、非公開が原則の調停内容が録音されて外部に流出する可能性が指摘されるなど、課題も多い。
だがウェブ会議はすでに広く浸透しており、ウェブ調停における問題が早期に解決され、全国で利用される日はそう遠くないでしょう。
ウェブ調停が本格化すれば、私たち不動産業者が相談を受け対応して相続問題を早期に解決する手段として、また離婚による財産分与が速やかに実施されることが期待される。
反面ではあるが、私たち不動産業者が介入した相続案件などでトラブルが生じた場合、調停申請が容易であることから当事者が調停に臨み、そこで不成立となった場合には通常裁判に移行して巻き込まれるといった危険性が上昇する可能性もある。
ちなみに家事調停には、取り扱う事件の内容により家事事件手続法別表第2掲げる事項に関する調停(別表第2調停)・特殊調停・一般調停の三種類が存在する。
それぞれ下記のような事件を扱う。
親権者変更・養育費の請求・婚姻費用の分担・遺産分割協議
協議離婚の無効確認・親子関係の不存在確認・嫡出否認や認知
別表第2調停を除いた家庭に関する紛争事件。離婚・夫婦関係円満調整など。
家事調停の特徴には以下のような点がある。
●解決が早い
調停は1回につき1~2時間程度で、月に1回のペースで開催され、平均1~3回程度で合意に至る。
また調停回数の制限はないが、回を重ねても合意に至る可能性が低い場合、もしくは合意が適切ではないと認めた場合には、当事者が継続を希望しても調停委員会が調停不成立として決定する。
調停委員が中立の立場でそれぞれの当事者から話を聞き、一方の意見を他方に交互に伝える方式で行われるが、事案によって双方一緒に聞き取りを行う場合もある。
原則として話は別々に聞き取る形をとることから、当事者同士が感情的になり直接言い争いになる可能性は高くないのも特徴だ。
●調停成立は裁判判決と同じ効力を持つ
調停による話し合いの結果、まとまれば調停成立となる。
調停により双方が納得した合意内容は調停証書としてまとめられるが、この調停証書に記載された内容は裁判の判決と同じ効力を持つ。
ただし調停は話し合いにより合意を目指す手続きであるから、不成立となった場合に手続きは終了し、子の監護(養育費・子供の面談)・親権者の指定・変更・婚姻費用(生活費分担事件)など一定の事件については、自動的に審判手続きに移り、審判(裁判)により解決を図ることになる。
それ以外の事件による調停不調和については、家庭裁判所に訴えを提起することにより、訴訟による解決を図ることもできる。
●費用が安い
申立費用は1件¥1,200円だ。
弁護士を依頼した場合や証拠調べのために必要な費用などが発生することもあるが、それらは当事者が調停内容を勘案して選択するものであるから、いきなり裁判を提起するよりも費用が安くなる。
●調停の裁判所管轄
調停申立書の管轄は、基本的に相手方の住所地を管轄する家庭裁判所になる。
ただし管轄外であっても当事者双方が、試験的導入を開始した東京・大阪・名古屋・福岡のいずれかの利用について合意すれば、ウェブ調停の利用が可能になる。
具体的なウェブ調停の方法については、現段階でもさほど多くの情報が公開されていない。
あくまでも現在、確認できる情報としては下記のようなものである。
当事者は自宅もしくは弁護士事務所から、裁判官及び民間の調停員は裁判所から参加する方法になっている。
またIT重説と同じく本人確認のために、カメラに向けて運転免許証等、本人確認書類の提示をするほか、ウェブカメラで部屋全体を映すようにして、第三者の居室への侵入を防止するなどが条件とされている。
調停は原則として非公開であり、弁護士以外を除き当事者以外の参加は認められない。
もちろん調停不調和を見越して画像を録画するなどの行為や録音など、裁判に移行した際に利用しようとする行為のほか、外部への漏洩なども厳しく罰せられる。
弁護士ではない我々、不動産業者が直接、調停に介入することはできないが事前相談や手法については、現段階で公開されている内容に基づき助言することはできる。
記事執筆担当_不動産エージェント 奥林洋樹