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エージェントブログ
2022.12.03
最近は保証会社を利用することが多くなった賃貸住宅契約時の保証人であるが、オーナー個人が管理するアパートなどは親族などを連帯保証人に立てる場合が多い。
半々とまでは言わぬまでも、まだ根強く残るのが連帯保証人である。
不動産コンサルで賃貸オーナーから相談を受けるケースとして「未払賃料の連帯保証人への請求」がある。
勘違いされている方が多いのだが、連帯保証人にたいしてその損害を無制限に請求できる訳ではない。
建物賃貸借における連帯保証人の責任が過大であるとの指摘から、民法で「保証人が負うべき限度額(極度額)を定めなければ、保証契約は効力を生じない」と規定されたからだ。
もっともこの規定は2020年4月1日に施行された改正民法によるものであるから、まだ新しい。
であるからご存知ない方も多い訳だ。
ちなみに改正民法465条の2第2項の条文は以下のようになっている。
「個人保証契約は、前項に規定する極度額を定めなければ、その効力を生じない」
つまり保証の範囲(極度)を定めていなければ、連帯保証人への請求権が否定される可能性があるということだが、それでは改正前に契約していた場合はどうなのかと疑問が残る。
これについては幾つかの判例を確認することで、ある程度の判断基準とすることができる。
たとえば最高裁(平成9年11月小法廷判決)による以下のような判例だ。
「本来相当の長期間にわたる存続が予定された継続的な契約関係である建物賃貸借契約においては,保証人の責任が無制限に拡大する可能性・危険性があることに鑑み,賃借人が継続的に賃料の支払を怠っているにもかかわらず,賃貸人が,保証人にその旨を連絡することもなく,いたずらに契約を存続させているなど一定の場合には,保証債務の履行を請求することが信義則に反するとして否定されることがあり得ると解すべきである」
これにより、改正前の契約についても請求が制限される場合もあることが確認できる。
それでは、どこまでの金額であれば権利濫用とされないか考えてしまうところではあるが……
社会通念上、妥当とされる範囲としか言いようがない。
1~2年など長期的な滞納状態を看過せず、早い段階で対応策を検討するべきであろう。
記事執筆担当_不動産エージェント 奥林洋樹