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2023.02.04
更地に建物を建築する場合、道路に接していなければ建築できない。
そもそも道路がなければ日々の生活に支障もあるのだから、四方を他人地に囲まれた土地などは建築以前の問題であるが、見た目は道路なのに法律上道路ではない物が存在する。
いわゆる私道という奴だ。
建築基準法第43条で道路要件というものがあり「建物を建築する場合、建築基準法上の道路(幅員4m以上)の道路に間口が2m以上接していなければならない」という定めがある。
この要件を満たしていなければ建築することができない。
それでは建築基準法上の道路とは何かといえば、同法42条に該当している下記のような道路である。
法42条1項1号
道路法による道路(高速自動車道を除く)で、幅員4メートル以上のもので一般的には国道、府道、市道が該当
法42条1項2号
都市計画法、土地区画整理法、旧住宅地造成事業に関する法律、都市再開発法、新都市基盤整備法、大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法または密集市街地整備法による道路で、一般的には都市計画道路、区画整理による道路、開発道路など。
法42条1項3号
建築基準法施工前または都市計画編入時に既に存在する幅員4メートル以上ある道
法42条1項4号
道路法、都市計画法、土地区画整理法、都市再開発法、新都市基盤整備法、大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法または密集市街地整備法による新設または変更の事業計画のある道路で、2年以内にその事業が執行される予定のものとして特定行政庁が指定したもの。
法42条1項5号道路
土地を建築物の敷地として利用するため、建築基準法令等で定める基準に適合する道路で、これを築造しようとする者が特定行政庁からその位置の指定を受けたもの。いわゆる位置指定道路。
法42条2項道路
建築基準法施工前または都市計画編入時に既に道として使用され、それに沿って建築物が建ち並んでいる幅員4メートル未満の道で特定行政庁が指定したもの。
これらに該当していれば道路として建築確認申請は認められるのだが、建築基準法においては道路所有者が誰であるのかまで定められていない。
であるが道路として公に利用されるのだから、所有者には管理責任が生じる。
そこで国や都道府県が直接開発して道路を敷設するような場合以外など、たとえば大規模開発などにおいては工事が完了すれば、市などに所有権を移転することを前提として法42条1項4号による指定を受けるわけだ。
であるが、やっかいなのは法42条1項5号道路などの位置指定道路である。
都市計画編入時に既に道として使用され、それに沿って建築物が建ち並んでおり、通常も道路として利用されており新たな建築もできる訳だが、所有者が個人である可能性が高い。
立ち並ぶ建築物の所有者が、各自所有権を有しているケースであれば、公道以降、それら所有者全員から「通行・掘削同意」を得なければならず、個人が単独である場合には当然にその個人から同意を得なければならない。
この道路所有者の中に意地の悪い人がいると大変だ。
通行・掘削同意書に判子をおすのにいわゆる「ハンコ代」を求められるのは楽な方で、なかには法外なハンコ代の請求をしてくる方や、なかには「絶対に認めない!」というかたもいる。
特定行政庁により指定を受けているのだから建築行為は認められるのだが、道路使用の承諾を得ていなければ重機やトラックが出入りする度にクレームを受けることになる。
ひどい場合には道路の真ん中にポールを立てられたり、バリケードを設けられるなんてこともある。
程度にもよるが、最低限通行できる程度の隙間を残しておけばこのような行為も合法とされてしまう。
なんせ所有者が個人だからだ。
このような私道所有者による妨害行為については様々な判例も存在するが、基本的には市区町村に相談に出向いても「お互いに話し合いをしてくださいねぇ~」と消極的である。
これも道路自体が個人の所有であるからだ。
このようなトラブルを抱える私道所有者と渡り合う場合、経験豊富な不動産エージェントが頼りになるのだが、接道が私道の物件を購入する場合にはトラブルに巻き込まれないよう充分に注意する必要があるだろう。
記事執筆担当_不動産エージェント 奥林洋樹