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エージェントブログ

2022.08.30

【自由ではあるが】

某教会の問題で表面化した霊感商法などの悪質商法に対応する議論が29日、消費者庁による有識者検討会の初会合として始まった。

 

同庁の蓄積データにより過去の対応や被害救済策も含め信者から宗教団体などへの「高額寄付」についても検証するらしい。

 

これまでは相談や注意喚起が主だったが、その取り組みを見直し、被害救済や未然防止で実効性ある対策を示せるかを争点として議論されるらしい。

 

信仰の自由は日本国憲法20条で認められた国民の権利であるから、その教義が正しいと信じて熱心に信仰してる方には余計なお世話かもしれぬが、一家離散するようなのめり込みや高額寄付はやはり問題だろう。

 

営業の世界では、顧客との間で宗教と政治の話はタブーとされている。

信仰は自由であるから「鰯の頭を信心」するのも好きにすれば良いのだが、それを人に強要するとなれば話は別であり、そのようなやり取りの契機になるかも知れぬ話題は不要だからだ。

 

「宗教はアヘンである」とマルクスがヘーゲル法哲学批判・序説の中で論じたが、この言葉は意味を取り違え誤解されていることが多い。

 

マルクスが言いたかったのは宗教は人間が造ったものであり、宗教が人間を造ったのではないという当たり前の原則から、故に即効性のある幻想的な解答を宗教に求めるのではなく、現実に不幸があればそれを改革するために立ち上がる必要性について述べているに過ぎない。

 

ようするに「否定はしないが上手く付き合いなさい」ということだ。

 

私事で恐縮だが、幼稚園はカソリックで食事の際「天にまします我らの父よ」と皆で祈り、高校では終業時に流れる「な~むあみ~だ~」で合掌し、大学で「あしきをはらうてたすけたまへ てんりわうのみこと」と天理教のみかぐらを歌っていたのは、自身の信仰ではなく通学した学校によるものだが、まこと節操がない。

もっともそのおかげでそれぞれの教義について基本を学び、長じて社会人になってからも学問としてコーランや大乗・上座部仏教や禅に関する本を暇に任せて読み漁ったものだから、宗教学については多少、語れるようにもなった。

 

であるから宗教依存の危険性については認識し、マルクスの言わんとしたことが理解できる。

 

神の存在証明についてこの場で語る気もないが、芥川賞作家の花村萬月氏が小説の中で「神様はいるよ。でも、何もしないからいないのと一緒」というセリフを主人公に言わせたが、その言葉が腑に落ちたのは私だけでもないだろう。

 

まずは己を強く持つということである。

 

記事執筆担当_不動産エージェント 奥林洋樹