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エージェントブログ
2023.03.04
2023年3月3日「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案」が閣議決定された。
これにより適切な管理がされておらず放置状態になっている空家は「管理不全空家」として特定され、勧告を受けた管理不全空家等の敷地は固定資産税の住宅用地特例を解除される。
ご存じかと思うが人が居住するための家屋の敷地として利用されている住宅用については特例措置があり税金が軽減されている。
固定資産税は、概ね実勢価格の7割程度で定められている固定資産評価額と基準として下記の税率を乗じて算出されている。
土地
課税標準額 × 税率1.4%
家屋
課税台帳に登録されている価格× 税率1.4%
さらに都市計画税として課税標準額にそれぞれ0.3%を乗じた金額が加算される。
要するに課税標準額×1.7%が固定資産税と都市計画税の金額となるのだが、不動産は高額だから1.7%の税率も馬鹿にならない。
例えば土地建物評価額の合計が¥3,000万円であれば、単純計算で51万円もの固定資産税がかかる計算となる。
もっとも居住用財産の場合、土地・建物それぞれにたいし一定の条件を満たせば軽減される。
土地にたいしては以下のようなものだ。
小規模住宅用地(住宅やアパート等の敷地で200平方メートル以下の部分)
固定資産税:価格×1/6、都市計画税:価格×1/3
一般住宅用地(住宅やアパート等の敷地で200平方メートルを超える部分)
固定資産税:価格×1/3、都市計画税:価格×2/3
これまでは空家で管理不全であろうが土地に住宅が存在していればこの軽減税率が適用になっていた。
「家の管理はできないけれど、放置していても家がある限りは固定資産税が安くなるから得だね」なんて考える温床とされてきた。
であるが今後はそのような考え方はできなくなる。
冒頭に書いたように住宅用地特例が解除される可能性があるからだ。
そうすればいきなり次年度の固定資産税は約6倍に跳ね上がる。
それだけではない。
管理不全空家にたいする市区町村の権限も強化された。
●市区町村長に特定空家等の所有者等に対する報告徴収権を付与
●特定空家等に対する命令等の事前手続きを経るいとまがないときの緊急代執行制度を創設
●所有者不明時の略式代執行、緊急代執行の費用徴収を円滑化
●市区町村長に財産管理人の選任請求権を付与
法律が一部改正されたのは空き家の数は増加を続けており、今後、更に増加が見込まれる中、空き家対策の強化が急務となっていたからだ。
その対策として周囲に悪影響を及ぼす特定空家等の除却等の更なる促進に加え、周囲に悪影響を及ぼす前の段階から空家等の有効活用や適切な管理を確保し、空き家対策を総合的に強化したのが今回の改正なのだ。
記事執筆担当_不動産エージェント 奥林洋樹