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エージェントブログ

2022.01.31

【知・好・楽】

タイトルとした「知・好・楽」という言葉はご存じだろうか?

 

論語の「これを知る者はこれを好むものに如(し)かず。これを好むものはこれを楽しむものに如(し)かず」を要約したものだ。

この場合の「知る」は知識の獲得を意味しており、不動産においては基本的な基礎知識、たとえるなら宅地建物取引士の資格取得のために学習している状態であろうから、少なからず楽しい状態ではない。

 

そこから少し成長して自ら学ぶ姿勢が出てくる時期を「好む」としているが、私の知る限り大半の不動産業者がこの場所で立ち止まってしまう。

 

日常業務のため法改正や不動産市況にも敏感であるし、必要に応じて学びもしているが楽しんではいない。

 

もっとも、会社に属している状態であれば上からも下からも無理難題を押し付けられ「一体、どうしろと言うんだ……」と愚痴りたくなるのが日常で、心から楽しむ余裕もないのだろう。

 

そのような状態でも楽しんでいる方がおられれば敬意を表するが、多くはあるまい。

私自身も勤め人時代、心から毎日を楽しむ余裕などなかった(毎日が苦痛と言う意味でもないが)

 

勤め人でいる限り、心の欲するまま全てに動けるなど夢物語だ。

 

「智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。兎角に人の世は住みにくい」は夏目漱石が「草枕」で冒頭に用いた言葉であるが、少なからず人と関りを持つのが仕事であり、下手をすれば家族よりも顔を突き合わせる時間の長い会社の同僚との関係は頭の痛いところだろう。

その点において私のようなフリーランスは気楽である。

 

不動産コンサルでも売買依頼でも自分に「合わない」方からの依頼は一切、受けないようにしている。

 

「仕事なのだから、我慢して……」と周りから助言されることもあるが、伊達や酔狂で30年以上も不動産業界で飯を食っていない。

 

「何となくマズいな」と直感で感じたクライアントからの依頼を受ければ、高確率でマズくなる。

 

あまり詳しく書けないが、バブル崩壊後における不動産債権回収業務では「1億で1人死ぬ」と言われており、誤ってババを引かぬよう細心の注意で業務を遂行する必要があった。

 

情報収集能力と野生のカンだけを頼りに今日まで生き続けてきたのだから「マズい」と感じれば本当にマズいことになる。

もっとも勤め人時代は、野生のカンが働いても上席から「四の五の言わずにヤレ!!」と言われれば対応するしかなかったのだが、その多くは前述のとおりトラブルになる。

 

このレベルになるとオカルトで、たんなるカンなのかシックス・センスなのかはたまた間違って食べた食材の中に「悪魔の実」が混じっていたのか知らぬが、説明できる範疇を超える。

 

であるから周りから信じてもらう必要もないが、自分のカン働きは信じるようにしている。

 

おかげで独立してから、頭を痛めるようなトラブルはない。

 

それはそれは毎日が楽しいものである。

 

記事執筆担当_不動産エージェント 奥林洋樹