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エージェントブログ
2021.07.05
7月5日
4時起床
メールをチエックしながらスケジュール確認、そして締め切りを迎える原稿に手を加えながら校正する。
執筆に必要な資料を確認する関係上、書斎にはモニター3台を展開しているが、それ以外にもリアルタイムに変動する最新ニュースを確認する意味でchrome_Bookを開きっぱなしで作業する。
都合4台。
目はせわしなく、モニターを行き来する。
「デイトレーダーでもあるまいし……」と、ながら作業で集中力に欠けるとの指摘もあろうが、私にとってはすこぶる作業効率が良い。
さて、リアルタイムで流れてくる情報で、とくに気になるのが7月3日に熱海市伊豆山地区で発生した土石流に関連する情報だ。
リアルタイムに情報更新がされているが、いまだに正確な安否確認や被害状況についての情報は得られていない。
ただし甚大な被害状況であることは明白であり、罹災した住人の方々、また状況の把握や対策のために粉骨砕身で対応にあたっている関係者の方に心からお見舞い申し上げたい。
発生から2日が経過し、マスコミでは土石流発生原因について「盛土造成」に欠陥があったのではないかとの議論が活発化している。
このような議論が始まると、マスコミは大見出しで「盛土造成が原因!!」とか
「急斜面の脆い地盤で、宅造工事に欠陥?」
「放置した行政に問題あり」
などのアイキャッチが横行する。
それらを鵜吞みにして、短絡的に問題と考えてはならない。
まず、宅地造成と土石流の因果関係は現在調査中であり断定できてない。
情報ソースとされる各大学教授などのコメントでも
「大量の土石流が発生していることから、可能性として(中略)……とも、考えられる」としているはずだ。
少なからず研究者は、原因が不明である場合には断定しない習性が身についている。
それなのに朝のテレビ番組のコメンテーターなどが、言葉の裏も見ず、大げさなリアクションで
「そうですか、土石流の原因はこのような危険な場所を放置した行政の責任なのですね!!」などと宣う。
専門家は一言もそのような決めつけはしていない。
閑話休題
さて当面の間、この「盛土」論争が続くであろうことを見越して解説をおこないたい。
相応の知識を持たぬまま、マスコミが一方的に「盛土造成」を“悪”であると言った偽りの情報を流し続ければ、現在、盛土造成地にお住まいの方は不安になるし、土地購入を検討している方も不安になると予想されるからだ。
この「切土・盛土」に関しては、宅地造成等規制法において宅地造成に伴う「がけ崩れ」や「土砂の流出」などによる災害を防止するために必要な規制を行うことによって、これらの災害から人の生命・財産を保護すると定められている。
都道府県においてこの宅造規制のエリアや面積はことなるが、宅地造成が行われることによって災害が生じるおそれの大きい丘陵地帯を「宅地造成工事規制区域(以下「規制区域」という。)」として指定をすることに変わりはない。
また、規制区域外においても、災害が生じるおそれの大きい一団の造成宅地を「造成宅地防災区域」として、宅地を常に安全な状態になるようにその工事内容や条件を厳しく定めている。
この宅地造成等規制法は昭和36年法律第191号の施工であり、時代に対応しているとは言い難い部分も見受けられるが、同法14条において大幅に都道府県知事の監督裁量権を認めていることから、地方行政がその経験の蓄積により、独自の基準を定め厳しく指導している。
これらのことから「盛土=地盤が緩い」と、単純に恐れる必要はない。
ただし、である。
ハザードマップや地耐力情報などは、データの蓄積により定期的に刷新されているので、購入を検討する場合にはそれらの情報も提示してもらい検討する必要がある。
また古い擁壁を持つ宅造地などは、擁壁にある雨水などの地下水を抜くための水抜孔から相応量の土が流出していることもあり、そのような場合には空洞化や液状化を疑う必要がある。
そのような土地購入を検討する場合には、経験豊富な不動産エージェントや専門業者に相談する必要があるだろう。
記事執筆担当_不動産エージェント 奥林洋樹