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エージェントブログ
2022.11.16
不動産のコンサルティングを行っていると、その相談は弁護士の範疇だという相談が寄せられることがある。
もっともいきなり弁護士を紹介するのも気が引けるので詳細に内容は聞き取る訳だが、先日、タイトルのとおり「設置した段差スロープが原因で事故が発生したのだが、設置者は罰せられるのか?」との相談が寄せられた。
事故とは言っても、側道を走行していた自転車が段差スロープに引っかかって転倒し、膝を擦りむいた程度であったのは幸いである。
警察が出動してはおらず、示談を進めているらしいのだが被害者が学生であったことから親権者が「スロープの設置は違法であり、その原因を生じさせた設置者の責任は重大である」と詰め寄られ困っているとのこと。
街中で見かける歩道と道路の段差を解消するために設置する段差スロープはホームセンターや通販などで販売されている。
さてその設置であるが、道路法43条2号では「みだりに道路に土石、竹木等の物件をたい積し、その他道路の構造又は交通に支障を及ぼす虞(おそれ)のある行為をすること」が禁止されている。
段差スロープは厳密に言えば「道路の構造又は交通に支障を及ぼすおそれのある行為」するので、その設置は違法である。
であるが住宅街などでよく見かける通り、違法性についてはかなりグレーであるのは事実だ。
設置がただちに犯罪行為であるとまでは言えず、道路法は行政法規でもあり刑事罰規定ではない。
ただし設置を原因として事故が発生すれば管理状況が問われ刑事罰としての「過失犯」が成立する場合もある。
設置する場合にはそのような事故を防止する対策を講じると同時に、何かあった場合には責任を追求される可能性があると理解し自己責任で設置することをオススメする。
いずれにしてもスロープの設置により事故が発生すれば、善管義務違反による損害賠償請求は覚悟する必要があるだろう。
記事執筆担当_不動産エージェント 奥林洋樹