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エージェントブログ
2022.02.03
現行民法の820条_懲戒権が削除される見通しとなったらしい。
懲戒権とは「親権者は監護と教育に必要な範囲内で子供を懲戒できる」とする定めで、1898年制定の明治民法の時代から規定されている。
端的に表現すれば躾のためにと容認される子への「体罰」である。
削除の背景に心無い親により多発している児童虐待がある。
被害を少しでも緩和できればという思いが、法制審議会の中にあるだろうし「隣の家で子供が泣き叫んでいる」と通報を受けて警察官が出向いても、あきらかに保護が必要である状態でなければ民事不介入の原則と懲戒権の援用で「しつけの問題なのだから警察が口をだすな!!」と言われれば、手出しできない。
かけつけた警察官も忸怩たる思いであろう。
改正により警察権の行使が多少なりできるようになれば児童虐待の未然防止も期待できるが……
顔は怖いが子供好きな私であるから、意味のない虐待など一切同意する気も擁護する気もないが、「躾」のためにある程度の懲戒権は容認されるべきだと思っている。
私ごとではあるが幼いころから現在に至るまで、面倒くさい性格でかつ生意気であるから両親はもとより、小・中・高・大学の先輩は勿論、歴代の教師に至るまでいかんなく懲戒権を行使されてきた。
高校・大学時代は運動部特有の無法地帯でもある寮生活だからそれはもう……トラウマになるほど懲戒権を行使(よくて暴行罪、下手すりゃ殺人未遂だったな、ウン)された。
そもそも親権者でもない先輩に鉄拳制裁を喰らっているのだから、懲戒権の構成要件も満たしてもいないが。
おかげでボクシング部でもないのに「殴られる」のに慣れてしまった。
30年以上も前の話であるから、今では良き思い出であるしそのような時代を共に過ごした同級生や先輩諸氏とは、皆、仲が良い。
そのような経験をしてきたうえであるが、暴力により解決できることはほとんどないと思っている。
例外として緊急避難的な正当防衛が容認される程度であろう。
であるが精神年齢が未熟で周りに危害を加える恐れがある場合など、節度ある躾としての子に対する懲戒は、親の務めであろう。
無論、暴力を容認する気などないが、それを持ってしか本人が学べぬのであれば仕方がない。
殴られる痛みは、殴られた経験でしか理解できぬ。
よしんば喧嘩になっても、どの程度までならケガをさせずにすむかの加減は実際に経験してみないと分からないものだ。
本を読んでも、格闘ゲームにうつつをぬかしても想像すらできないだろう。
懲戒権の削除により、法のうえで「怒鳴る・たたく」は禁止される。
法改正の目的は理解できるし児童虐待の増加も認識しているが、本当に必要なのは虐待する親を取り締まる、もしくはそのような光景を見かければ「声」をかける強さを、私たち大人が持つことではあるまいか?
記事執筆担当_不動産エージェント 奥林洋樹