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エージェントブログ
2022.04.16
ネットニュースを見ていたら「ひろゆき氏」こと実業家の西村博之(ひろゆき)氏がMCを務めるABEMA「Abema Prime(アベプラ)」に生出演し、東京都の“太陽光パネル義務化”案について、持論を展開したとの記事が目にとまった。
ひろゆき氏と言えば1999年の大学在学中に「2ちゃんねる(現5ちゃんねる)」を開設して管理人となり、現在はパリへ移住して「4chan」を買収し管理人に就任するなど実業家としても著名であるが、同時に著作業もおこなっている。
多方面に活躍されている方だが、その真骨頂は「バッサリと一刀両断する物言い」にあるだろう。
注目度の高い御仁であるから、その発言は毎日のようにネットニュース上で取り上げられている。
そのうちの一つが、今回お題にした『東京都による新築物件への太陽光パネル設置の義務化』だ。
さすがひろゆき氏は、太陽光発電の普及促進においてデメリットとされる「出力制御」に言及していた。
出力制御とは、発電量を管理制御する機能である。
再生可能エネルギーのうち、とくに太陽光発電は天候(採光量)により発電量が常に変動する。
この変動を各個で制御しているのがパワコンなのだが、一般家庭などが自給自足で使用するのであれば、このパワコンにより制御した電力を使用すれば別段、問題ないのだがこれを「買電」して送電網に流す場合、電力会社は全体において常に変動する電力を制御し続けなければならない。
技術的にはもちろん可能なのだが、無尽蔵に「買電」量が増加すれば大規模な設備投資が必要である。
私の活動する北海道は札幌から少し車で走れば広大な土地があり、そこにズラリと大規模太陽光発電を並べれば道内全体で使用する電力を補うことも可能なのだろうが、それが達成できない理由は前記による。
送電網が整備されていない事を理由に電気を購入して貰えないからだ。
不安定な電力をそのまま送電網に流せば、最悪の場合は大規模停電になりかねないのだから、電力会社も「イジワル」して買わないわけではない。
前述した「ひろゆき氏」は、この理屈を交えながら「不安定すぎて導入するメリットを感じない」といった声や「ただでさえ住宅価格が高騰してるのに…設置費用まで上乗せされたら手が届かない」という世間的な論調を紹介しつつ「また小池(百合子)さんが無駄なことをやってるなと思います」とまとめていた。
さすがに良いところをついているのだが、2050年までのカーボンニュートラル実現は何も東京都だけの話ではない。
京都議定書以降の世界的な目標であり、国が世界に向けて実現すると公言した「お約束」だ。
約束は守らねばならない。
2050年までにそのお約束を達成するために計画されたのが「二酸化炭素排出量削減計画」であるがそれによると2030年、つまり8年後までに2013年比46%削減を達成している必要がある。
計画は2013年の排出量を起算点としているが、2019年までに達成された削減量は▲14%に過ぎない。
あくまでも私の試算ではあるが、現状のままの削減量で推移してけば2030年における削減量はせいぜい▲30%前後だる。
これでは世界中から「日本は嘘つきだ」と糾弾されるのであるから、二酸化炭素削減計画を遂行する主体である経産省を筆頭に環境省・国土交通省も必死である。
東京都の太陽光パネル設置義務化は、ひろゆき氏の指摘するように一見、小池東京都知事の独断専行によるパフォーマンスのようにも見えるが実際はそのような単純なものではない。
政治的な駆け引き、つまり「裏」がある。
なぜなら東京都の情報公開に呼応するように「建築物省エネ法改正案」の閣議決定に向けて調整が開始された。
改正法はなし崩し的に閣議決定されるであろうから、そうなれば一定以上の住宅性能を有していない新築住宅は建築が認められなくなる。
そして各都道府県も改正時期を見計らい「太陽光パネル搭載義務化」を宣言してくるだろう。
このあたりの理屈を詳細に書けば話が長くなるので割愛するが、各専門誌や業界サイトから依頼され記事を執筆している。
興味があれば参照いただきたい。
記事執筆担当_不動産エージェント 奥林洋樹