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エージェントブログ
2022.08.16
お盆真っ只中、8月16日の地方紙、北海道新聞に釧路市についての記事が載せられていた。
今月上旬「うわさには聞いていたけど、街中テナント募集中だらけ」とツイッターで呟かれ、「いいね」回数が8万件にも及んだ。
その投稿がキッカケとなったのかは知らぬが、市中心部の空きビルを巡る「廃墟ツアー」が実施されたとの記事である。
釧路市は北海道東部の太平洋沿岸にある市で、国内の市町村としては面積で第7位を誇る。
道東地方を管轄する国や道の出先機関のほか釧路湿原国立公園を有し、空港を持つ道内人口6位の市である。
つまり規模は大きいのである。
であるが令和4年8月最新の住民基本台帳によれば161,527人である。
対前年同月と比較して2,568人の減少だ。
これは平成27年に釧路市総合政策部都市計画課が作成した、釧路市の将来推計人口予測とほぼ合致している。
このまま減少が続けば、2040年には106,088人まで、釧路市の人口は減少することになる。
人口ピークである1980年の約22万人と比較すれば約半分となる。
原因は明らかで「転出超過」である。
とくに若年層の転出超過と、それによる出生率減少が「人口減少の負のスパイラル」状態をつくりだしている。
若者は目ざとく故郷を捨てるが、働き先がなければ致し方がない。
そうではなくても、イメージには敏感である。
市のイメージを大きく損なっているのが、人口減少(観光減少も含む)により撤退を余儀なくされ、その後、廃墟ビルとなっている建物の存在だ。
もっとも目立つのは、駅を出てすぐのビジネスホテルオーシャンであるが、撤退した2012年から廃ビルとなっている。
さらに地元民や観光客の人気である公設市場の「和庄市場」前には、2016年に廃業した「アベニュー946」デパートの廃墟がデンと構えている。
それだけではない。
市内のあちらこちら、名前をあげればくしろデパート・オリエンタルデパート・丸ト北村・旧丸井デパートなど大型店舗が撤退し、半ば廃墟とかしている。
市の調査によれば31棟もの空きビルが確認されているとのことだ。
市の中心街のいたるところにこのような廃ビルが生まれ、それにより心象を損なっている現状を、市もただ見過ごしている訳では無い。
釧路駅の鉄道高架事業を促進し、南北に分断された中心部の利便性を高めようとしているのだが、事業費が市の概算で168億円にも上ることから必要性について世論も二分している。
さらに点在する廃ビルについても、何らかの対策を講じる必要があり頭を痛めている。
現状はほとんど手入れがされていない状態であるものがほとんどで、有効利用するのも多額の費用が必要とされる。
これらを疲弊する企業に強制的に押し付けることもできない(物件登記上の企業が存在しない建物も多数あるようだ)
中には解体以外、方法はないほど荒れ果てたものもあるが、それらには所有者不明の状態の物も含まれている。
それならば行政代執行による解体も考えられるが、所有者不明の状態で解体工事を行えば、その多額の解体費は市の負担となってしまうのであるから、おいそれと解体もできない。
「駅前ゴーストタウン」などと揶揄されるほどであるから、初めて見た方なら「中心部でこんな……」と驚かれるだろう。
日ハム球場建築効果で、路線価上昇率が全国一となった北広島市があるかと思えば、かって栄えた街が、疲弊しているのが北海道の現状である。
このような故郷の状態を見るにつけ心を痛め、可能な限りの情報発信やコンサルを行ってはいるが、まだまだである。
記事執筆担当_不動産エージェント 奥林洋樹