Facebook Instagram
011-763-8360 受付時間(平日)9:30~18:30 CONTACT

NEWS

エージェントブログ

2023.03.12

【放置空家にメリットなし】すみやかに対策を講じることが大切な理由

本年(2023)の4月1日から「所有者不明土地建物管理制度・管理不全土地管理制度」が本格的に強化される。

 

であるが、私たち不動産業は必ず理解しておきた変更については、すでに段階的に実施されている。

 

一つが、管理不全空家や相続などを原因として共有で所有する土地家屋にたいし、所有者の居所が不明で連絡がつかない場合において、利害関係人の請求により地方裁判所に所有者不明地管理人を専任する権限が与えられたことだ。

専任された管理人には利用改良行為権限が付与され、所有者不明地であっても適切な管理を行うことが可能となる。

 

さらに別途、家庭裁判所の許可は必要とされるが、売却権限も付与される。

これは所有者不明地や管理不全家屋問題を解消するための措置ではあるが、所有者不明の私道についても適用される。

 

私道に面する土地所有者が按分でその所有権を持ち合っていることは多く、既築住宅として売買する、もしくは建て替え工事実施時において、他の私道所有者から「通行・掘削の同意書」を取得しなければのちのちトラブルに発展する可能性がある。

 

公益的に利用されている「道」であっても、あくまでも個人の所有であるからだ。

 

その私道所有者が居所不明、連絡先も分からないとなれば売買はもとより、建て替えに影響があるのも当然であり、私たち不動産業者も頭を悩ませるものだ。

 

それが法改正でたいそう「楽」になる。

 

また隣地の所有者が居所不明である場合には、境界確定や接する擁壁等の修繕で隣地に立ち入る場合に許可を取ることができず(無断で立ち入れば不法侵入とされる)困ることがよくあった。

であるが、境界確定調査や、接する擁壁の修繕、工作物の築造や収去などに必要である場合、原則として目的・日時・侵入場所・方法などを予め通知すれば立ちいることができるようになった(連絡先は分かっているが、隣家が空家の場合)

 

また所有者の居所が不明である場合にはその所在が判明した時点で事後、通知すれば良いともされた。

 

これまで私たち不動産業者の「頭」を悩ませてきた問題が、改正によりかなり改善される。

 

もっとも改正は不動産業者を「楽」にさせるために行われる訳ではない。

 

増加を続ける管理不全空家を抑制し、減少させることが目的である。

 

また放置空家などへの行政による立ち入り権も強化されており、調査の結果、「管理不全空家」に指定されれば固定資産税の居住用財産の軽減措置が剥奪されるので、一気に税金が上がる(土地に関しては6倍)可能性がある。

 

税金面で有利だからという理由で空家のまま放置することにメリットはなくなり、自己の所有する不動産は適切に管理しなければならなくなるということだ。

 

記事執筆担当_不動産エージェント 奥林洋樹