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エージェントブログ
2022.07.14
タイトルの損害賠償額は東京電力旧経営陣に対して東京地裁が判決した、国内民事訴訟最高額である。
それにしても13兆円……。
旧経営陣4名にたいしての賠償責任額であるが、按分で計算し「割り勘で3兆2千5百億円づつね!」とはならない(それでも、とんでもない金額であるが)
この場合、因果関係のある4名それぞれにたいして全額支払いの命令がくだされたことになるので、「頭割りするのであれば当事者で勝手に話し合いなさい、ともかく連帯責任として全額を支払え」という意味になる。
天下の東京電力旧経営陣のことであるから個人資産も相応にあるのだろうが、賠償金額は尋常な額ではない。
海外ほどではないにしても、旧大和銀行の役員11名に対して約830億円、旧蛇の目ミシン工業では583億円、オリンパスで594億円などが株主代表訴訟により争われ賠償を命じられているが、実際にはほとんど回収できていない。
「ないところからは取れない」というのが現実であり、今後、和解に進むのか上告するのかは知らぬが取りはぐれになることは確実だろう。
あくまでも合法的な範囲でしか請求できないのだから、これは仕方がない。
であるが、このように賠償命令を命じたことが素晴らしい。
私も個人的に興味があったことから、可能な範囲で裁判記録を入手し読み込んできたが、旧経営陣の責任逃れは大したものであった。
「手順は適正」
「詳細は現場にまかせていた」
などの言い逃れともいえる弁明に終始しており、政府による地震調査研究推進本部による最新の科学的信頼性を有する地震予測「長期評価」にたいし、「信頼性は不明」であると抗弁し、自身が意見を反映できる余地のある「土木学会に検討を委託する」としたまま放置し、結果として甚大な被害をもたらしている。
裁判において地震調査研究推進本部の信頼性は争点とされたが、被告は「知見ではなくご意見」との賜り、裁判長が我慢できず「それじゃあ地震調査研究推進本部が馬鹿みたいじゃないですか!」と、公平を司るべき立場でありながら苦言を呈したほどである。
あまりにも紳士的ではない。
私達、不動産エージェントは独立採算のフリーランスであるから、何か不手際を起こした際の責任は全て自分に帰属する。
そこに逃げ道はない。
足掛け10年にも及ぶ裁判であったから原告側の苦労も並々ならぬものがあったであろうし、まだまだこれからの問題も山積されているかとは思うが、区切りとしては歴史的な判決の一つに数えられるであろう。
記事執筆担当_不動産エージェント 奥林洋樹