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エージェントブログ

2021.08.30

【学問の秋】

日々かかさず執筆をしているが、アウトプットばかりではすぐに枯渇してしまう程度の知識量であるからインプットは欠かせない。

 

そこで執筆量以上に、さまざまな本を読み込む。

 

情報のインプットばかりだと疲れてしまうので、法廷サスペンスやミステリーのほか、お気に入り作家のエッセイなども読む。

 

ただしそのような本を読むとはまってしまい、業務に支障をきたすので夜にして、日中は古典や各種の文献など多少なり格式の高い本を読むよう心がけている。

そこでいまさらながら読んでいるのが福沢諭吉の「学問のすすめ」だ。

 

福沢諭吉については説明もいらぬだろうから割愛するが、1872年から1876年にかけて全17編の分冊として発行され、1880年にそれらをまとめ「学問のすすめ」として出版されたこの本の、名を知らぬ人はいないだろう。

 

「天は人の上に人を造らず」というフレーズは、誰しもがそらんじることができる。

 

ところが、これだけ有名でありながら実際に読んだことがある人に“トン”と巡り合わぬ。

 

【不動産エージェント無頼派】である私の交友関係に問題があるのかと周りに聞いてみると、どうやらそうではないらしい。

 

実際に読んでいる人が、ほとんどいないのだ。

 

お忙しい方に無理して読みなさいと進めるほど酔狂ではないので、読みたい人だけ読めばよいと思うが、その内容は一読に値する(あたりまえだが)

 

私は古典を愛するが、それは長年、消え失せず現在まで読み継がれている文章に“ハズレ”がないからだ。

 

たんに物珍しさからベストセラーになった本を読むぐらいなら、古典を読んだ方がはるかに有益だ。

 

とはいえ、読み慣れていない方にとって古典は難解だ。

 

太宰や芥川、夏目漱石などは文語体で書かれていても、もとが日本語であるから、慣れで読みこなすことができる。

ところがドストエフスキーの「罪と罰」など、当時の言語学者が文語体で、しかも忠実に翻訳しているばあいには難解さが増し、もはや苦役ですらある(岩波文庫の現代語訳版などは昔と比べて、とても読みやすくなっているが)

 

閑話休題

 

話を「学問のすすめ」に戻そう。

 

読んだ方ならご存じだろうが、内容は辛辣である。

 

全編を通し、「学を修める重要性と、それは義務である」をテーマとして書かれているのだが、政治批判や学ぼうとしない個人にたいして激をとばす表現は、現代であれば「炎上」し袋叩きにあってもおかしくない内容だ。

 

だがその熱意に関しては疑うべくもなく、全編に渡り考えさせられる。

 

たとえば学を修めるには本を読む。

 

ただし、そんなものは単なる手段の一つでしかないと福沢は喝破する。

 

①事象を観察し、考え

②書を読み知見を得て

③議論してその知見を交換し

④本を書き

⑤講演する

 

この一連の流れを終えて、初めて「学問をやっている人」だと論じている。

 

納得できるし、自分は何らできていないと反省する。

 

このような実践的な内容が、全編に渡り書かれているので、かれこれ半年に渡りマーカーで色を付け、余白にコメントを書きつけて読み進めるも全体の半分ほどにも達していない。

 

まさに「少年老いやすく、学成り難し」である。

 

記事執筆担当_不動産エージェント 奥林洋樹