NEWS
お知らせ
エージェントブログ
2022.11.17
投資物件も含めてであるが、不動産コンサルを業としていると「手頃な金額の物件があってので意見を戴きたい」と、セカンドオピニオンとして物件の総合評価をして問題がないかなどの助言を求められる場合がある。
誰しも不動産を購入する場合「安ければ安いほうが良い」のは当然だ。
確かにまったく同じ条件であればその通りなのだが、不動産は大量生産品とは違い「特定物」である。
ちなみに特定物とは取引の当事者が個性に着目した取引の目的物のことであるが、当事者にとってこの世に唯一の存在であり、別の物による代用は不可能であるとされる。
たとえ同じデザインの建売建売が並んでいても、窓配置や微妙な方位のズレなどによりまったく同じ物は存在しないと言えるだろう。
であるから、一般的な流通相場よりも価格がお安いからと言って「なぜそのような価格なのか」を把握していなければ購入後後悔することになる。
日本トレンドサーチが某新築業者と全国の男女1000名を対象におこなった「家を購入したときに重視したこと」についてのアンケートによれば、実際に住宅を購入した方の40.9%は予算を重視したとのことだった。
予算ありきに「異論」を唱える気はないのだが、予算ばかりを重視して他のことを見落とすと後悔することになる。
予算に次いで多いのが環境であり、最後が建物(住宅性能やデザイン含む)であったようだが、不動産歴32年の私から言わせれば最初に重視するのは立地も含めての「環境」ではないかと思う。
不動産は総じて高額であるから簡単に買い換えをすることはできない。
一度、居所を定めて住宅を購入すれば一定期間以上そこで暮らすことになる。
中古住宅の売買が日本よりもさかんな海外、たとえばイギリスなどは不動産を買い替えながらステップアップしていく文化が定着しているが、かの国はそもそも新築住宅を好まないという国民性が背景にある。
新築信奉の根強い日本とはちと違うのだ。
日本の場合、一度購入すれば約8割は生涯そこに住み続ける。
住宅は経年変化により劣化していくが、であればリノベーション工事を実施すればよい。
であるが環境は個人ではどうすることもできない。
近隣の空き地に高層マンションが計画され、日照権を争いトラブルになることなどはよくあることだし(この場合、建築基準法上で日影制限等を満たしていれば住民運動も虚しく終わることが大半である)
無論、目先の価格は大切であるが、高額な不動産を購入する場合には「生涯そこに住住む」との意識で近隣をくまなくリサーチし、今後、予測される環境の変化を吟味する心構えが大切だと言えるだろう。
記事執筆担当_不動産エージェント 奥林洋樹