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エージェントブログ
2021.07.04
1日の大半を執筆にあてることがある。
なんせ、一文字「幾ら」での日産平均が6,000~7,000字、それ以外にも依頼されているテーマのプロットが思いつけば、ともかく書き溜めておく。
それに加えて、お読みいただいているようなブログの執筆である。
ブログは2,000~3,000字程度に収まるように書いている。
これらを合計すると、1日に10,0000字前後は書いているのだろう。
もちろん兼業作家なので、突然に不動産関連の問い合わせやコンサル依頼の電話が鳴る。
最近、特に多くなったのが住宅ローン支払い遅延に関してだ。
曰く
●何か月か延滞しているが、ボーナスで一括して払えば問題ないのか?
●何か月延滞すれば、ブラックリストに乗せられるのか?
●すでに遅延しているので、金融機関に連絡するのに気が引ける
●延滞が何か月に目になると無理やり家を売却されてしまうのか?
●住宅ローンの支払いを遅延したら、何か月で退去しなければならないのか?
これらの質問は、期限の利益の喪失と個人信用情報・競売が一緒くたになって相談している本人も整理できていない。
勘違いというよりは、知識不足による混乱である。
まず銀行に住宅ローンを借りる場合には金銭消費貸借契約を締結しているが、この契約書に「期限の利益の喪失」にかんしての記載がされている。
期限の利益とは
例えば金融機関から10,000,000円を借りたとする。
本来であれば、この10,000,0000円に定められた利息をそえて全額返済しなければならないのだが、当然、一括で返済できるはずはないから20年(240回)や30年(360回)かけ分割で返済する。
この分割で返済することが出来る債務者の権利を「期限の利益」という。
これは双方の約束で成り立つ契約なので、延滞が複数回に渡れば双方の信頼関係が揺らぐことになり、債権者(銀行など)は、期限の利益の喪失を宣言し、一括弁済を求めてくる。
金融機関は、あくまでも末永く債務者と付き合い、将来的に利息も含めた元金を回収したいので1か月の延滞で「期限の利益の喪失」を適用し一括弁済を求めてくることはないが、3か月以上延滞すればその限りではない。
一括弁済を求めてくる。
そこで、質問事例にあった
●何か月か延滞しているが、ボーナスで一括して払えば問題ないのか?
これはアウトである。
複数か月延滞しているだけで、すでに信頼関係は破城しているので一括弁済を求められても抗弁(反論)のしようがない。
●何か月延滞すれば、ブラックリストに乗せられるのか?
との質問だが、巷で言われるブラックリストなる「黒革の手帳」が存在し、銀行員がセッセと書き込むことなどは、無論ない。
個人情報信用機関の登録情報に履歴が残るということだ。
銀行が加入する信用情報機関は、多少ことなることもあるが概ね下記の3つには加入しているだろう。
住宅ローンに限らず、車のローンやクレジット内容などの借り入れ先情報や取引情報を金融機関などが情報共有し、融資を実行するかどうかの判断材料とするために利用される。
この情報に支払い状況や延滞履歴などの情報が登録されている。
この情報に延滞履歴がのっているのが債務者の黒歴史、つまり「ブラック」である。
自分の信用情報がどのような状態であるかは、これらの機関へ「本人開示手続」を行うことが出来るので、ご興味があれば調べてみるのも面白い。
●すでに遅延しているので、金融機関に連絡するのに気が引ける
気が引けている場合ではない。
すぐに連絡しなければならない。
本当は延滞が発生する前に、窮状を訴えて相談をするべきであった。
無責任なことを言うつもりはないが、「たかだか借金である」
命までとられるものではないし、「銀行員はスーツを着た金貸しだ!!」などと言われることもあるが、それは約定どおりに支払いができなかった債務者に非があるだけのことだ。
誠意をもって窮状を訴えれば、必ず相談に応じてくれる。
特にコロナ禍で、収入の道が立たれ窮状に陥いる方も数多くおられるだろうし、現状では今後も増加していくことだろう。
もう一度いう。
たかが、借金である。
犯罪ではない。
支払いをしようと頑張っても、世情により困難になっただけである。
ここから先は
●延滞が何か月に目になると無理やり家を売却されてしまうのか?
●住宅ローンの支払いを遅延したら、何か月で退去しなければならないのか?
についての解説になるが、「任売」「競売」の話になってくるので、相応の長さになる。
不動産業者の中でも、これら融資に関してや民法・債権法などの知識が乏しく、弁護士や公的に相談に応じている機関を紹介して、「何かしてあげた」感を出している業者を見受ける。
プロとしてはあまりにも情けない。
そのようなタイプに限って、「不動産歴○○年」とか「お客様のために」などと美辞麗句を並べるが、だいたいは役に立たない。
例えば「任売」の場合だと、手掛ける不動産会社により債務者が手元に残せる金額が大きくことなる。
これが出来るのは、知識に裏付けされた金融機関との交渉力や、書類作成の技術である。
実力がなければ手を出してはいけないプロの仕事だ。
相談を持ち掛けるにも、相手を厳選する必要がある。
これについても次回、続編とさせていただく。
記事執筆担当_不動産エージェント 奥林洋樹