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エージェントブログ

2022.12.04

【事故物件の告知に関する誤解】

様々なメディアに向けて事故物件についての記事を執筆しているからか、当人が「人」として事故物件に該当しているからなのか知らぬが、まったく面識のない不動産業者から事故物件の告知に関しての相談が寄せられることがある。

 

顔出し名前出しで寄稿している記事も多く、また不動産コンサルティングの個人事務所として活動しているのだから相談が寄せられるのは多少なり認知度が高くなったということだろう。

さて今回、寄せられた内容というのが「20年以上前の自殺について告知が義務はあるのか?」という相談であった。

 

国土交通省庁から「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン(通称_事故物件ガイドライン)」が策定されたのは令和3年10月8日のことであるが、ガイドラインは、取引の対象不動産において過去に人の死が生じた場合において、宅地建物取引業者が宅地建物取引業法上負うべき義務の解釈について、策定時点における裁判例や取引実務に照らし、一般的に妥当と考えられるものを整理し、とりまとめられたものだ。

 

ガイドラインのポイントは以下のようなものである。

 

1.宅地建物取引業者が媒介を行う場合、売主・貸主に対し、過去に生じた人の死について、告知書等に記載を求めることで、通常の情報収集としての調査義務を果たしたものとする。

 

2.取引の対象不動産で発生した自然死・日常生活の中での不慮の死(転倒事故、誤嚥など)については、原則として告げなくてもよい。

 

3.賃貸借取引の対象不動産・日常生活において通常使用する必要がある集合住宅の共用部分で発生した自然死・日常生活の中での不慮の死以外の死が発生し、事案発生から概ね3年が経過した後は、原則として告げなくてもよい。

 

4.人の死の発生から経過した期間や死因に関わらず、買主・借主から事案の有無について問われた場合や、社会的影響の大きさから買主・借主において把握しておくべき特段の事情があると認識した場合等は告げる必要がある。

要約すれば告知は口頭によらず、物件状況報告書などの特記事項に概要を記載すれば説明義務は果たしたとされ、自然死や不慮の事故死については告知義務がないとされているということだ。

 

また賃貸に限られるが、事件としての「死」については発生もしくは特殊清掃実施日から起算して3年を経過すれば原則として告知不要とされた。

 

但し、経過期間が定められたのはあくまで賃貸物件のみであり、売買物件についてはその限りではない。

 

つまり売買物件に関しては、法的にもガイドラインにおいても特段の定めがないということだ。

 

であるから、冒頭の質問の回答としては「20年以上、経過しているからといって告知義務を免れる訳ではない」が回答になる。

 

また賃貸物件も同様であるが、契約当事者(購入者・賃貸人)が「わたしぅいぃ~幽霊とか絶対ダメなんですぅ~」という場合、経過期間によらず告知が必要とされる。

 

これがガイドラインのポイント.4に記載した「事案の有無について問われた場合や、社会的影響の大きさから買主・借主において把握しておくべき特段の事情」の解釈である。

もっとも告知記載内容は端的に事実だけを伝えるだけで足り、憶測を呼ぶような、信憑性のない噂などについて告知する必要はない。

 

であるが、社会的注目を集めた殺人事件など近隣住民の記憶に長く残されている事件などは「期限なき告知対象」とされる。

 

事故物件ガイドラインの策定による功績は多大だが、売買物件に関しては課題が多く残されているのだ。

 

記事執筆担当_不動産エージェント 奥林洋樹