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エージェントブログ
2023.02.26
私は風貌に似合わず「詩」を好む。
日本において「詩」を好むと言えば、軟弱だと言われるかもしれないが、そんなことは知ったことではない。
良いものは良い。
タイトルに用いた「両立しない造形の秘技と貨幣の強引」は、私が何度読み返したか分からない高村光太郎の智恵子抄「美の監禁に手渡す者」の一節である。
ご存じのとおり、智恵子抄は光太郎が妻である智恵子と出会ってから死後までの30年間に渡って造られた「詩」が収められており、ほかにも「あどけない話」「樹下の二人」「レモン哀歌」などの秀作を一読できる純愛の詩集である。
ちなみに造形の秘技とは、高名な彫刻家「高村光雲」を父に持つ光太郎が求めた彫刻に関しての鬱屈した精神状態が反映されている。
詩人として名を馳せているが、光太郎は本来、彫刻家である。
智恵子と結婚をしてからの収入が父である光雲の下請仕事と翻訳の仕事しかなく、智恵子抄の中でも「貧乏」であることが想定される詩がのせられている。
己の望む芸術性の高い作品を世に出そうと苦心しても、対価を得ることができないもどかしさからであろうか「貨幣の強引」の後「両立しない創造の喜と不耕貪食の苦さ」へと続く。
生前「絵」が一枚も売れなかったと言われるゴッホも、自らが求める芸術性と「金」の問題で苦労したようだが、不動産エージェントも同様である。
勤め人であれば、アルバイトも含め時間「幾ら」で給与が支払われる。
結果を出しても出さなくても、仕事をしてもしなくても毎月の給与は一定である。
むろん営業職の場合、売上に応じ支給される「歩合」なんてのもあるのだが、その場合には固定給が低くされていることが多い。
そのような不動産業者がRE/MAXエージェントについての話を聞けば、システム理解も早いのだろうが、一般的な勤め人であった方が説明を聞いても
「固定給は?」
「健康保険は?」
「売れなかったら生活できないじゃないですか」
と疑問に思うだろう。
そもそも不動産エージェントとしてオフィスに所属していても実態は個人事業主である。
広告や集客活動などに必要な経費も全て自分で負担しなければならない。
であるから出社義務もなければ一日の拘束時間も存在せず全て自由である。
もちろん相談をすればフォローしてくれるが、業務や行動管理は自己責任である。
なんせ「夢」だけでは食べて行けないから、収入を得るため頑張らなければならない。
厳しさもあるが、自ら考え行動しそれが「実」を結んだときの喜びもあるのだ。
記事執筆担当_不動産エージェント 奥林洋樹