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エージェントブログ
2022.11.19
タイトルは意味深けだが別段、深い意味はない。
自身がハードでボイルドな人生を生きているためか、見た目が「怖い人」であるからなのか理由は不明だがハードボイルド小説が好きである。
もっとも日本・海外問わず純文学のほか、気になるタイトルの小説は暇にあかせて読むのだが、最近、とんとハードボイルド小説は読んでいなかった。
海外の作家では「マルタの鷹」のハメットや「さらば愛しき人よ」のチャンドラーが代名詞であるが、日本の作家で古くは大藪春彦・生島治郎・結城晶治が有名で、以降は北方謙三・大沢在昌・馳星周・誉田哲也・松岡圭祐などがあげられるのだろう。
なかでも水谷豊主演の映画「逃れの街」を書いた北方謙三は、日本におけるハードボイルド小説における一つの型(体言止めの多様)を造りあげた作家であり、学生時代の私は貪るように読みふけったものだ。
であるが、いつの頃からだろうか「飽きて」しまった。
理由は定かではない。
錆びた海・ワイルドターキー・葉巻や煙草・ジッポライター・ジャズと酒場・暴力など、およそハードボイルド小説のキーワードが登場する小説に「胸焼け」したのかも知れない。
ハードボイルド的な表現としてはパパ(ヘミングウェイ)が書いた「武器よさらば」のほか「日はまた昇る」に代表される、およそ平易、簡潔な表現がその特徴とされる。
いわゆる省形容詞の文体である。
であるが当時はハードボイルド小説なんてジャンルは確立されていないから、たんにヘミングウェイが客観的な感情や先入観を盛り込まず、極めてシンプルに登場人物の行動を補足する手段として主人公に独白させる手法が定着したのだろう。
パパの代表作である「老人と海」は私も好きな作品であるが、さきほどの典型とも言える文体による作品であろう。
最近、何気なく本棚で埃をかぶった北方ハードボイルド最高傑作と名高い「BLOODY DOLL(ブラディ・ドール)」シリーズ19冊を引っ張り出し一気読みしたのだが、改めて読めばやはり面白い。
川中・藤木・若月・秋山など「男」であることに拘る生き方しかできない魅力的な登場人物たちが繰り広げる架空都市での話だが、数多い登場人物の中で、一年に一冊、絶望に溢れ救いのない辞書のように分厚い小説を書き、日本よりも海外で売れている小説家「群秋生」が私のお気に入りキャラである。
読んだことのない方には何のことやら分からないだろうが、年配の男が酒を飲みながら、葉巻をくわえ老眼鏡を頼りに本を読んでいる姿も、見方によってはハードボイルドな世界なのだろう。
記事執筆担当_不動産エージェント 奥林洋樹