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エージェントブログ
2022.04.14
最近、情報収集と並行しながら各方面に対して提供している話題にコロナ「特例貸付」の返済開始に備えるというテーマがある。
特例貸付はコロナの影響によるリストラや時短勤務のほか、様々な諸事情により生活が苦しくなった方に政府が無利息で生活費などの貸付を行った制度である。
支援策として機能していたこの貸付であるが、来年1月から返済が開始されるのだがコロナ禍がその時期までに収束する可能性は見込めず返済に困窮する方が続出するだろうからだ。
私が活動する北海道の特例貸付実施状況は、2月時点の申請ベースで13万2千件とされ貸付総額は479億円に達している。
個人には最大200万円を上限として貸付されているが、貸付は信用情報や返済能力は不問とされていたことから多重債務者に陥っていても借入出来るメリットがあった反面、申請業務を担当した社会福祉協議会の担当者も面談をせず書類審査のみで貸付をおこなってきたから端的に言えば「ザル融資」であった。
なんせ収入減収状況に関する申立書に「コロナにより生活に困窮している」と記載するだけで100%融資が実行されるという背景があり、ネットではカードローン返済に利用するため特例貸付を指南する記事が溢れかえっていた。
火事場泥棒のような愚劣な考え方は、個人的に好きではないが融資は救済目的であるから、目をむいて異論を唱えるほどではない。
問題はそのように貸付された返済が来年1月から開始され、延滞の場合には年10.75%の利子が付されることである。
無論、返済困難な場合には返済免除や一時猶予の制度はあるが、いずれにしてもハードルは高い。
そこで懸念されるのが、特例貸付返済開始により住宅ローン支払いが加算され、月々の負担が増加することによる住宅ローン支払い困窮者の増加である。
先日、私が解説する「任売」の不動産業者研修用動画を紹介したが、この動画を作成した経緯は何も不動産業者に恩恵を与えるといったことだけが目的ではなく、業者が正しく任売に関しての知識を有することにより住宅ローン支払い困窮者を救済することが可能になるといった「想い」がある。
動画で解説をしているが債権者とのシビアな交渉を制して「任売」により顧客の有利に処理することができる不動産営業マンの数は、おおよそ500人に1人程度のものであろう。
任売という用語は知っていても、何から手をつけて良いのか分からず、下手に手がければ期間内に売却を完了することができず「競売」手続きへ移行する。
競売に移行すれば任売なら得られたはずの引っ越し代の拠出や、引っ越し時期の調整などは斟酌されず即立ち退きが命じられる。
任売の取り扱いはまさに職人芸の世界であるから「星の数よりメンコの数」と形容されるように知識・場数・経験が三位一体となり初めて行える業務だ。
不動産素人に扱える「類」のものではない。
記事執筆担当_不動産エージェント 奥林洋樹