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NEWS

2021.10.13

【優秀な若手は不動産エージェントを目指すべき】

自分自身が長らく不動産業界に携わり、様々な不動産営業マンや会社を見てきたのだが、旧態依然の古い慣習に染まってしまう優秀な若手営業マンを見ると切なくなる。

 

不動産業界の未来を憂う気持ちからだ。

 

最初は「コレ、絶対にオカシイですよ!!」と語気粗く意見を発していた若手営業マンが、数年も業界にいると悪しき慣習に異を唱えず、受け入れて染まってしまう。

 

たとえば、仲介手数料の両手取引問題。

 

売主・買主双方の代理人となり報酬を得ることが、利益相反の関係ではないかといった問題であるが、それについては先日のブログでも書いたので重ねて自論は展開しない。

 

だがその問題の根底にあるのは、「物件囲い込み」の問題である。

これは特に、大手不動産仲介業者において目立つ行為である。

 

宅地建物取引業では、一般媒介を除く「専属専任」「専任」媒介を締結した場合には、それぞれ5営業日・7営業日以内に、広く買主を募集するため業者ネットワークである「レインズ」へ登録が義務付けられている。

 

大手であるからもちろん登録はしている訳だが、物件の販売状況について確認すると「商談中です」ガチャっと電話を切られる。

 

業者間における「商談中」とは、買い手の希望者が存在し「買いつけ証明書」が提出された契約前段階を意味するのだが、電話したこちら側からは本当に商談中かどうかは伺い知れない。

 

商談中と返答されたから、商談中なんだなと思うしかないのである。

 

そんな状態であるから、先日ブログで書いた【適正処分か淘汰か】で書いた知る人ぞ知る大手仲介業者_S不動産に在籍している某営業マンの担当物件は、全て「商談中」と返答される(ちなみに事務方のスタッが電話に出ると、物件担当じゃなければワカリマセン、それに、不在です!!と、とても親切に電話を切ってくれる)

 

レインズで登録されたばかりの物件も、半年も販売できずにいる物件も全て商談中と返答される訳だが……

 

「そんなワケあるかいっ!!」(嘘のような本当の話だ)

これを「物件の囲い込み」という。

 

先日のブログでも、担当営業が誠意をもって取り組んでいる前提で両手取引は利益相反にあたらないと持論を展開したが、上記のような場合にはその限りではない。

 

このような問題を解消しようとすれば、確かに売主・買主双方の代理人となるのを、法律で禁じてしまうのが手っ取り早い。

 

ところが仲介手数料の問題もある。

 

私は不動産コンサルを主業としているので、相談業務に関して「時間当たり○○円」と予め説明して報酬を得ているが、一般的な不動産業者の場合には広告でよくみかけるように「相談・査定無料」としている。

 

つまり時間をどれだけかけようが、報酬は仲介手数料だけである。

 

仲介手数料は「3%+6万円」を上限として定められているが、売主もしくは買主の片手取引の場合にはこの計算による報酬となるが、両手数の場合には報酬が「倍」になる。

 

物件価格が高額な都心部であれば片手取引でも事業が成り立つかも知れないが、物件価格の低い地方の不動産業者からすれば「それでは商売が成り立たないですぅ~」となる。

 

そのような意見も多いことから、利益相反の懸念や囲い込みの温床となるにも関わらず、国交省も見て見ぬふりをしている。

この問題を解決するのは簡単である。

 

両手取引を禁じるとともに、仲介手数料の上限を撤廃してしまえばよい。

 

媒介依頼を締結する時に、5%でも10%でも良いので、働きに応じて手数料を設定できるようにすれば、依頼者の側からすれば業者の能力や働き方に応じて納得できる金額を支払える。

 

物価は上がっているのに、1970年の物価水準で建設省が定めた仲介手数料の上限金額がそのままである(51年間、上限据え置きである)

 

また仕事を満足にしていないのに、上限金額を請求してくる業者もまたオカシイ。

 

そのことにたいして、声をあげる業界人があまりにも少ない。

 

なぜか?

 

これが冒頭で書いた「数年も業界にいると悪しき慣習に異を唱えず、受け入れてしまう」の意味だ。

 

もっもと、企業に属していれば自由奔放に意見もいえないだろう。

 

私が企業に属している状態で、いつもどおりのブログを会社ホームページに書けば、おそらく社長から呼び出しを受けて「きみの書いたブログ、ちょっとねぇ……」と叱責を受けるだろう。

 

しょうがないから可愛らしく「テヘッ」と笑ってごまかすしかない。

だから不動産エージェントである。

 

勤め人なら必要な遠慮も、独立採算のエージェントであれば必要がない。

 

不動産業界を変革し、欧米並みに不動産業者の社会的な地位を引き上げるには優秀な若手が率先して声を上げ「旧態依然の悪しき慣習を破壊するしかない」

 

発言には責任が伴う。

 

であるから自論を展開するには学びを深め、自分自身を強く持つ必要がある。

 

その精神をノブレスオブリージュ(noblesse oblige)という。

 

記事執筆担当_不動産エージェント 奥林洋樹